SaTo_yu99’s blog

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21/22 CL決勝 リヴァプール vs レアル・マドリー 戦術マッチプレビュー



※ ⭐︎は可能性大

 

両者の現状

リヴァプールは、チアゴが出場できるのかが微妙。サラーはPL最終節に途中出場、ファンダイクとファビーニョは暫く出場はないが、恐らくはスタメン起用が可能であろう。

一方のマドリーは、現段階で欠場者はいない模様。最終節もアラバは召集外であったが、先発が予想される。

 

リヴァプールのスタイル

リヴァプールの戦術

https://sato-yu99.hatenablog.com/entry/2021/10/28/235328

 

マドリーのスタイル

マドリーは、最高のタレントとクラブの格を軸にチームを作り、論理的な戦術や合理的且つ段階的な崩し(段階的優位性)を取り入れているというよりも、圧倒的な技術力や組織力、そしてスピリットの部分も含め、良い意味で「理不尽」という言葉に尽きる。

瞬間的なコンビネーションによる崩し、各選手のスーパーな技術と創造性による攻撃や、カバー範囲の広さ、インテンシティの高さ、対人の強さを活かした守備など攻守共に個人のクオリティーの高さ(質的優位性)での解決をベースとした選手の個性の色が強いチームである。

 

・ビルドアップ

前述したように、デザインを重視した段階的な組み立ては行わないため、これといって決まった配置が無いことが特徴的である。各選手の能力が優れているので自然と可変した時に多くの役割を熟せることによって、流動的且つアドリブ的なスタイルを成立させている。

配置が整理されていなくても、アドリブ的なコンビネーションや技術力と推進力を持ったドリブルなどで剥がしてたり、瞬間的に最適なポジションに出て(降りて)ボールを引き出したりして前進させる。

また、CBからドリブルでの持ち運びでラインを越えたり、降りたIH含め後方からのロングボールで一気に前進することも可能である。

カウンターを得意とするマドリーは、自陣においてGKを含めた組み立てから前進し、そのままゴールに迫ることも多い。ベースシステムのままの場合、シンプルにヴィニシウスの背後を狙ったり(疑似カウンター)、IHの展開力を起点に局面を打開する。

ただ、前述したように、流動的且つアドリブ的なポジションチェンジをスムーズに行えるのがマドリーの強みである。典型的なのはIH(特にクロース)がCB脇まで降りて回避の起点となるかたちだ。降りたIHでボールを落ち着かせ、そこから高いキック精度を活かして配球する。
IH降りに応じて相手中盤選手も付いてくると、それによって出来たスペースにベンゼマが降りてボールを引き出し(モドリッチが流れる or カゼミロが出て行く or メンディーが内側に入ることも)、前進する。

更にはGK含めて4バックを形成し(右肩上がり、左肩上がりの両方とも可)、WGやSBが内側に入って中間ポジションを取ることで回避の起点となるかたちも可能。各選手が大幅にポジションを変えることで相手を撹乱し、外から内に入った選手(主にメンディー、バルベルデモドリッチ)が自ら中盤でフリーになったり、大外の味方選手(主にヴィニシウス、カルバハル)をフリーにしたりできる。

 

・フィニッシュワーク

フィニッシュワークもビルドアップ時と同様にアドリブ的な崩しが殆ど。ミドルシュートや、サイドからのクロスとそれに対してボックス内への飛び込み、

WG(特にヴィニシウス)をアイソレイトさせて内側を走る選手へパス又は自らドリブル突破などのかたちに加えて、瞬間的なコンビネーションでの打開といったように個人のクオリティーの高さを活かした攻撃でゴールへ迫る。

能力の高い選手たちが要所で高い技術を発揮することを前提としているが、そんな最高の選手が揃う中でも別格なのが、ベンゼマモドリッチだ。彼らはオフザボール、オンザボール共に世界最高レベルの選手であり、マドリーの「理不尽」を一番体現している選手である。完璧に形成された相手のブロックや全く点が入るような状況ではない場面をベンゼマのスーパーゴールやモドリッチの超高精度パスなど彼ら二人の想像の範疇を超える技術だけで打開する場面も少なくない。

 

・プレッシング

試合によってはプレスをかけずに撤退してリトリート気味に守ることも多いが、試合の流れ上、単発的にプレスをかける場合はハイプレスを採用。

4-1-4-1(相手が中盤三角形の場合)、又はモドリッチが前に出る4-2-3-1(相手が中盤逆三角形の場合)で相手中盤をマンツーマン気味に捕まえるかたちとなる。

セットした陣形からボールホルダーへの圧力のかけ方はアドリブ的で、主に2パターンある。

一つは、RWG(バルベルデ)が相手SBへのパスコースを消しながらボールホルダーへプレスをかけるパターン。(基本的にLWGヴィニシウスはカウンターに備え守備を軽減させているため、走力の高いRWGバルベルデ側からプレスをかける)

ビルドアップ能力が高い相手の場合はGKを使ってWG(バルベルデ)の頭越しのパスで相手SB(左)へボールを送られた場合は、ボールの移動中にSB(カルバハル)がジャンプして出て行ってプレスをハメる。

このとき後ろはスライド3バックを形成して(逆サイドSBが絞って)カバー、ボールサイドのWG(バルベルデ)がプレスバックしてボールホルダーを囲い込む、といったように全体のスライドを徹底して圧縮する。

もう一つは、CF(ベンゼマ)がどちらかのサイドへ限定し、IH(主にモドリッチ)が相手中盤(自分のマーク)へのパスコースをカバーシャドーを使って消しながらプレスをかけるパターン。

IH(主にモドリッチ)が前に出るのに連動して、ACやCBが空いてる相手選手まで縦スライドしつつ、WGも中切りのプレスをかけることでボールをサイドへ誘導する。

 

・ブロック

試合の状況や相手の配置によって様々な陣形に変化する。(プレスをかけず、最初からセットしてブロックを敷くことも)

主なかたちとしては、モドリッチが前に出つつ下がった両WGと2センターで4枚を形成する4-4-1-1、RWG(主にバルベルデ)が下がってWB化し絞ったヴィニシウスと前に出て牽制もかけるモドリッチを含めて3センターを形成する5-1-3-1、ベースシステムのままの4-1-4-1、がある。

どのシステムにおいてもヴィニシウスがカウンターに備えて守備負担が少なく、その分を個人の守備能力の高さと、前に出て牽制するモドリッチ、走力を活かして上下動するバルベルデでカバーするアシメントリー気味となる傾向がある。

守備スタイルも攻撃スタイル同様、アドリブ的な対応で解決する。

そのため、配球どころを上手く牽制できない、ライン間にどんどんボールを供給されてしまう、大外が空いてしまうなど守備陣形の設定不備によってミスマッチが起こり得ることも珍しくない。

ただ、簡単に前進されたとしても、ボックス内でのクロス処理や、身体を張ったブロック、クルトワのファインセーブなど個人での対応含めて最後のところは破らせない守備対応でゴールを守る。

主にコンパクトなブロックとダイナミックなブロックの二つのパターンがある。

一つは、4バックをコンパクトにしてSBが内側の相手選手へ、WGがプレスバックして大外の相手選手へ対応する(バルベルデをWB化して最初から5バックで対応する)パターンである。

もう一つはプレッシング時同様、パワーとスピードを兼ね備えたCBが積極的に縦横スライドするパターンである。(ジダン期のベースのパターン)

ライン間やポケットのスペースまで積極的にCBが出て行て後ろから相手を捕まえで対応するだけでなく、流れ上、時には大外まで出て行って対応することもある。

このとき、基本的にカゼミロが下がってCB化して(時にはバルベルデやSBが熟すことも)、スペースを埋める。

 

 

試合の見どころ(個人的考察)

マドリーの攻撃 / リヴァプールの守備

⭐︎CFとIHで相手中盤を捕まえる4-3-1-2のハイプレス

リヴァプールが前からプレスをかけることは間違いないだろう。

恐らく、両IHで相手IHをそれぞれ捕まえつつ、CFで相手ACを捕まえることでファビーニョを余らせて、WGから外切りで圧力をかける4-3-1-2でハイプレスを採用するはずである。

ACカゼミロ脇のスペースに相手IHが降りたとしても、縦スライドで捕まえに行くだろう。

スクロールして配置をずらされる(バルベルデ内側、ベンゼマ降りなど)と、そこをファビーニョで対応するはずだ。

GKクルトワを使ってWGの頭越しのパスで相手SBまでボールを送られてしまうこともあるかもしれないが、ボールサイドSBがジャンプして全体が横スライドするなどらしい連動が徹底したプレスで簡単には自由を作らせないはずである。

 

アドリブ的なポジションチェンジとそこでの瞬間的な技術力

マドリーといえども、リヴァプールの連動したインテンシティの高いハイプレスを選手の瞬間的な技術だけで剥がすことはかなり困難であるはずだ。

中盤をマンツーマン気味に捕まえにくる相手に対して、大幅にポジションを変えることで相手にどこまで付いて行くのか、誰が付いて行くのかという選択を常に迫れるかがポイント。具体的には、クロース降りにマークのヘンダーソンはどこまで付いて行くのか、ヴィニシウスが背後を狙うことでピン留めしている場合でもアーノルドは縦スライドするのか、カゼミロが前に出たときにマネはどこまで付いて行けるのかが鍵となりそうだ。

そうした状況下においてのボールサイド圧縮を無効化するクロースのダイナミックな展開、瞬間的に出て行くモドリッチや瞬間的に降りるベンゼマのボールの引き出しは、より一層プレス回避の起点となり得る。

 

⭐︎個人の能力の高さを活かした質的優位

予想ではリヴァプールが保持する時間帯が続くと思う人が多いだろう。

ただ、少ないチャンスの中で確実に点を取るということに関して、マドリーは一番優れているかもしれない。

特に、相手の弱点とマドリーの強みが噛み合わさるのは、左サイドにおける崩しだろう。

幅を取るヴィニシウスのところでは一対一においてかなり質的優位性を作ることができる。

その上、ベンゼマが流れたり、モドリッチが飛び出したりすることによる瞬間的なコンビネーション(オーバーロード気味)も併されば、鉄碧のリヴァプールの守備を崩すことが十分可能であろう。

また、RWGサラーのプレスバックの状況によっては内外を走り分けられるLSBメンディーの攻撃参加で数的優位を作れるのかが鍵となりそうだ。

ただ、前述したように戦術的、論理的に崩すよりも、結局はモドリッチベンゼマが「理不尽」に点を取るということが一番現実的であり、それを期待しているマドリディスタも多いはず。

一方、リヴァプールのCB陣は、パワーとスピードを兼ね備えて対人守備にもカバーリング守備にも優れており、それこそ「理不尽」に守れるだけ能力を持っている。

そんな相手に対して、ベンゼマモドリッチを中心とする攻撃をどれくらい行えるのか注目だ。

 

リヴァプールの攻撃 / マドリーの守備

CF脇にIHが出て行く4-1-4-1のミドルプレスの場合

特に可変させず、初期設定の配置のまま、CFベンゼマがカバーシャドーを使ってファビーニョを監視。

そのため、深追いすることはできず、ベンゼマの脇のスペースにはIH(クロース、モドリッチ)が出て行って牽制する。

出て牽制するIHと2トップ化、スライドしたACカゼミロ含めて4枚となる一時的な4-4-2となり、中央とボールサイドをケアできる。

 

ライン間へのポジショニングと開いたゲート間を通すパス (vs4-1-4-1)

4-1-4-1を採用すると、CL決勝トーナメント以降もDFラインとMFラインの間が拡張し、そこにポジショニングする相手選手を誰が捕まえるのかが曖昧となることが多いマドリーに対して、マティプやファンダイク、状況によってはチアゴやアーノルドからのゲート間を通すくさびのパスは非常に効果的となる。

それに合わせてフォルス9の動きでマネが降りると、ACカゼミロはそっちが気になってスライドしきれない可能性が生まれる。

リヴァプールはビルドアップの配置を細かくデザインしないため、常にライン間に人を置きつつ、誰がどのタイミングで顔を出すのかによってスムーズに前進できるかどうかが決まってくるだろう。

 

⭐︎モドリッチが前に出る4-4-1-1のミドルプレスの場合

数ある守備設定の中でも、一番可能性が高いのは直近のCLでも採用したモドリッチを前に出す4-4-1-1であろう。

相手の中盤の陣形に合わせて、2センターで相手IHを監視、モドリッチがACファビーニョをマンツーマンで捕まえ、ベンゼマがボールホルダーに牽制をかける。サイドに誘導すると、ボールサイドの相手中盤(この場合チアゴ)を2センターの片方(この場合クロース)が出て行ってマンツーマン気味に、同様に連動してボールサイドの相手WGをSBがスライドして捕まえ、WGが中切りで牽制する。

4-1-2-3のシステムのリヴァプールに対して、CFのところ以外マークが明確化する陣形であり、よってライン間にどんどんボールを送り込まれる課題も同時に解決できる。

相手とのシステムの噛み合わせとマドリーの個人能力が高さを考慮すると、この守備設定を採用する可能性が高い。

 

2センター間を狙ったフォルス9、カバーシャドーを抜け出すレイオフ、WGのドリブル突破 (vs4-4-1-1)

リヴァプールが可能とする前進方法は主に3つ。

まずはCF(マネ、フィルミーノ、ジョタ)のフォルス9の動きによるプレス回避。相手2センターは両IH(チアゴヘンダーソン)を監視するため、当然距離が開いてしまう状況もでてくる。

フォルス9の役割を得意とするCFマネにとって、広がった2センターの間のスペースまで降りてボールを引き出し、前進する起点となることは難しくないはずだ。

次にレイオフを使ってファビーニョを経由するプレス回避について。いくら賢く狡猾に守備をできるベンゼマとはいえ、CB2枚を相手に上手く牽制し続けるのは困難だ。(そもそもミドルプレスであるため、積極的なボール奪取を目的としていない)

そのため、卓越した足元の技術力を兼ね備えているマティプやファンダイクからドリブルで持ち運ぶ機会は多くなるはずである。

CFベンゼマを外してCBから持ち運ぶと、出てくるのはモドリッチ

マンツーマン担当のファビーニョをカバーシャドーで消しながら、持ち運びに対しても牽制をかける。

そのため持ち運んだCBから直接ファビーニョへボールを送ることは難しいが、IH or 内側に入ったWG、SBを中継してファビーニョまでボールを送ることは可能。

このようにレイオフを上手く活用することができればカバーシャドーを回避し、中央でフリーとなったファビーニョを起点に前進することができる。

最後にWGの突破による前進について。相手MFラインを超えた場所でWGが横幅いっぱいに幅を取っている状態で、後方から正解なロングフィードを送ると、相手WGのプレスバックは遅れてアイソレイトした状況で相手SBと一対一の状況を作ることができる。

メンディー、カルバハル共に対人守備に強く、アラバ、ミリトンのカバーリング対応も素早いため、普段のように簡単には抜き去れないだろう。しかし、個の能力だけで相手を圧倒できるテクニックとスピードを兼ね備えた突破力のあるトップオブトップのWGディアス、サラーであれば、彼らの突破を起点に前進し、そのままゴールへ迫ることも可能であるはずだ。

 

IH(チアゴ)が降りる可変によるサイドでの数的優位 (vs4-4-1-1)

IHがAC脇のスペースもしくは最終ラインまで降りることによって、相手のマークをズラすことが可能になり、誰がどこまで出て行くのか迷いを生じさせられる。

マンツーマンで捕まえられる場合、配置から逆算したポジショニングを取り続けることが攻略の鍵となる。(準決勝でシティのベルナルドがこの役割を行ったことでマークが崩壊)

選手の特性と普段の役割からすると、この役割はチアゴの方が適正か。(勿論、ヘンダーソンでも可)

アゴが降りても、守備の要であるカゼミロはそこまで付いて行きずらい。

アゴが降りたことで相手WGが牽制に来れば、SBとWGで数的優位を作ることが可能に。(逆サイドも然り)

モドリッチが牽制に来れば、前述したようにレイオフを使ってファビーニョ経由で回避し、前進することが可能となる。

 

バルベルデをWB化する5-1-3-1のリトリートの場合

配置上、5トップ気味になることは少ないもののリヴァプールの攻撃力を踏まえると、バルベルデを下げ後ろ5枚で埋めて撤退する5-1-3-1も考えられなくはないはずだ。

リヴァプールの時間帯がかなり長くなってしまうだろうが、二列目で牽制をかけつつ、後ろは5枚で各レーンを埋め、プラスでカゼミロが掃除するようなかたちでスペースを消せば、ボールを持たせて攻めあぐねさせることができる。(リヴァプールはリトリートした相手を段階的に攻略することに余り得意でない)

また、前残り気味のポジションを取るであろうヴィニシウスが背後を狙い、そこへ正確なパスを送り込めるモドリッチがいることによって、ただ守り続けるだけでなく、喉元に刃を突きつけながら守ることができる。(ロングカウンターでそのまま一気にゴールへ迫ることも)

 

瞬間的な降りと連動した飛び出し、手前からのアーリークロス (vs5-1-3-1)

リヴァプールが可能とする崩しの方法は主に2つ。

一つは相手CBを釣り出し、その空いたスペースを使う崩しである。各レーンを埋める相手に対して、相手CB前にいる選手が瞬間的に降りて相手CBを釣り出し、ポストやフリックでその背後のスペースにボールを送る。(特にマネ、フィルミーノ)

これに連動して、WGがダイアゴナルに走り込んだり、中盤が二列目から飛び出したりすれば、中央から一気にゴールまで迫ることができる。(特にサラー、ディアス、マネ、ジョタ、ヘンダーソンファビーニョ)

もう一つは相手GKと最終ライン間に落とすようなアーリークロスを使う崩しだ。主にWGのアイソレイトなどで相手を引っ張った状態で手前の選手へボールを戻す。

すると、相手DFとしては一回目線をずらされ、尚且つ後ろ向き(ゴール方向へ)の体勢となっている中で後ろから動きをつけて走り込んでこられるため、対応することが厳しくなる。

特に、アーノルドのクロス精度は、世界最高クラスであり、相手のブロックが整っていたとしても防ぐことは困難なはずだ。


最後のところで破らせない守備対応

簡単に前進されたとしても、ボックス内でのクロス処理や、身体を張ったブロック、クルトワのファインセーブなど個人での対応含めて最後のところは破らせない守備対応でゴールを守れるのが、マドリーの強みの一つである。

 

モドリッチを前に出す4-4-1-1のハイプレスの場合

常時ハイプレスをかけ続けることは考えにくいが、流れ上、GKまでプレスをかけに出る場面は何度かあるはずだ。

そのときはリヴァプールの配置に合わせて、モドリッチが前に出る4-2-3-1で相手中盤をマンツーマン気味に捕まえるかたちとなり、パターンは二つに分かれるだろう。

RWG(バルベルデ)が相手SBへのパスコースを消しながらボールホルダーへプレスをかけるパターンと、CF(ベンゼマ)がどちらかのサイドへ限定し、IH(主にモドリッチ)が相手中盤(自分のマーク)へのパスコースをカバーシャドーを使って消しながらプレスをかけるパターンである。

前者の場合、ビルドアップ能力が高い相手の場合はGKを使ってWG(バルベルデ)の頭越しのパスで相手SB(左)へボールを送られると、ボールの移動中にSB(カルバハル)がジャンプして出て行ってプレスをかけ、後ろはスライド3バックを形成して(逆サイドSBが絞って)カバー、ボールサイドのWG(バルベルデ)がプレスバックしてボールホルダーを囲い込む、といったように全体のスライドを徹底して圧縮して高い位置でボールを奪取できる。

また、後者の場合も、IH(主にモドリッチ)が前に出るのに連動して、ACやCBが空いてる相手選手まで縦スライドしつつ、WGも中切りのプレスをかけることでボールをサイドへ誘導して高い位置でボールを奪取できる。

 

GK含めた組み立てでの回避、前線へのロングボール (vsハイプレス)

一人一人の個人能力が高いマドリーのハイプレスを掻い潜ることは簡単ではないが、プレスを空転させることができれば、擬似カウンターの状況を作れ、逆にチャンスになることもあり得る。

身体能力が高く、多少アバウトなボールを収めることも、裏に抜けてスピード勝負することもできる前線3枚にロングボールを送ることも回避策としては悪くないだろう。

段階的な回避方法としては、低い位置で失うというリスクは伴うものの、一度GKアリソンを経由すること。

モドリッチが出てプレッシャーをかけ、連動して後ろ(この場合カゼミロ)が縦スライドしたときに、空いてくるIH(この場合ヘンダーソン)までパスを送れるか、相手WG(この場合ヴィニシウス)が絞ったら外側のアーノルドまでパスを送れるかがキーとなってくる。

 

 

 

さとゆう (@SaTo_yu99) | Twitter

 

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